4月に入って市場では、米債に現れた逆イールドがあえてFRBが仕組んだ政策変更なのではないかといった驚くべき見方が顕在化しつつあります。これまで米債市場で逆イールドが示現するとその後1年以上先にリセッションが待ち受けるという非常に危険な信号と受け取られてきたことから株式市場も恐れる動きが明確に示現したわけですが、これは相場が発しているサインではなくFRBが意識して示現させているサインであるという全く逆の見方が広がりだしているのです。
これはFRBがごく近い将来ツイストオペや長期金利に対するくぎ付け政策を実施するのではという観測が市場にではじめたことに起因してはじまった見方なのです。
一部の報道では早々と米債の逆イールドを当局の操作であってリセッションの兆候とは関係ないといった開設も出始めている状況です。

https://www.marketwatch.com/story/text-of-may-fomc-statement-2018-05-02

長期金利の低下は米国の国益

確かに短期金利が上昇するというのは国外から資金を集めることで活性化する米国市場にはプラスに働きますが、長期金利に関しては低下しているほうが株式市場、ジャンク債市場をはじめとして不動産市場さえも足元のバブル状態を継続させられるわけですから長期金利をくぎ付け政策したほうが米国経済にとっては都合のいいことが多いという見方はうなずけるものがあります。
実際にこれを現実に行っているのが日本の日銀ですから、同様の政策をとることを考えるという発想がFRBメンバーの中に芽生えるのもわからない話ではありません。
FRBはバーナンキ議長時代の2011年にツイストオペを実際に実行することで短期債を売って長期債を買い作為的にイールドフラット化もしくは逆イールドを形成する動きを行った実績があるだけにこうした政策の実施は確かに十分に考えられるともいえるわけです。

本当に長期金利を制御できるのかが問題

日本の場合日銀が市中に出回っている債券を大量に買い込むことで事実上債券市場が動かない人工的に制御する相場を作りだしてしまったことから黒田日銀の金融緩和政策で本来中央銀行には制御できないとされてきた長期金利のコントロールを現実のものにすることができているわけですが、米国の場合日本よりはるかに発行している債券量も多く、しかも外人投資家が購入しているということを考えますと、完全に制御ができるものなのかは甚だ疑問で実際にFRBがこうした政策に乗り出すのかどうかが注目されることになります。

株価上昇にむけて突き進み始めたウォール街

ウォール街ではもはや危機は起こらないといった妙な楽観論が台頭しはじえめており、大統領選挙年の前年にあたる2019年は株価がさらに上昇に向かうという強気論が台頭しはじめています。
実際問題、昨年末クリスマスを前にして大幅に下落したNYダウをはじめとする米国株式市場はムニューシンがトランプ名で招集した株価暴落防止チーム(PPT)の活躍もあってかNYダウは昨年10月につけた史上最高値を更新するまであと少しというところまでまさかの回復を遂げてきており、チャートだけみればテクニカル的にも史上最高値を更新する可能性はではじめています。

しかし絶対的なレベルでの米株の高さはここから長期投資に挑めるようなレベルではなく、さらに調整しなくては買いで参入できないことも事実です。
過去のバブル崩壊過程では最後の上昇、つまりエリオット波動における5波動目の5の時間帯は延長する可能性が高く、しかも大きく跳ねることが多かったのも事実ですが、その後下落したところを押し目として拾っても結局相場は大きく崩れることが多く、相場の最後に付き合うと足抜けできないままそれまでの利益をすべて損失に変えてお仕舞いになることも多かったわけですから、ここからの相場に参加するかどうかはかなり判断のわかれるところにもなりそうです。

リーマンショックからすでに10年半経過しており、米国株式市場にほぼ10年に1度起きる大幅な下落がないままのここまで来た相場が今後何もなく推移して大幅上昇過程に入るのかどうかはまだまったくわからない状況です。
ひとつだけ言えるのは市場に総楽観論が走り始めたときには結局その相場は終了するということで個人投資家としてもどう相場に向き合うかが問われる時間帯に入ってきそうです。