ドル円は狭い値動き

6月第二週、ドル円はギャップアップからスタートして11日のロンドンタイムには108.800円を超えてさらに上昇するかのように見えましたが、一週間を通じて上昇できたのはここまでで週の後半は徐々に上値を切り下げる展開が続き、結局木曜日以降に窓を埋める形で下値を試す展開となりました。

ドル円4時間足推移

しかし下値はオープン外債を購入しようとする機関投資家やGPIFなどの資本筋がかなりの買いを入れていることから108円は既に割れなくなっており、下値を狙う実需と売り崩す投機筋との闘いが延々と続いている状況を示現しています。

ユーロは米債金利に影響を受ける動き

6月第一週ECB理事会を受けて大きく上昇したユーロドルでしたが週明けからは横ばいを続け米債金利が下落すれば上がり、もとに戻ると下落するというドル次第の動きが続きました。14日UKでボリスジョンソンが次期首相として最有力という報道が出たことでポンド、ユーロ共に弱含みとなり1.12ぎりぎりの手前で週の取引を終えています。ユーロ経済の現状からみてユーロが大きく買い戻される可能性は低いもののドルとの相対的関係からさらにショートカバーがでることも否定できず、とにかく突っ込み売りは避けて戻りを丁寧に売っては利益をとっていくといった地道な方法が求められる相場状況となりました。

ユーロドル4時間足推移

週明けはFOMC待ちの相場

さて、週明けはいよいよ米国で6月のFOMCが開催されます。政策金利の発表は日本時間で20日早朝の3時からとなりその後パウエル議長の会見が予定されています。

CMEが開示しているFedWatchではさすがに6月の利下げ予想は23%程度で市場は6月利下げは織り込んでいませんが、声明の内容に強く利下げを意識したものが示唆されたりパウエル議長がそれに近いことを口頭で示唆した場合には株価は引き続き上昇、債券金利は下がってドル円も下落基調になるものと思われます。

パウエル議長はメディアのインタビューにおいてもトランプ大統領の発想は正しいといった発言をすでに繰り出していますので、市場の期待に応える形の見通しを語る可能性は高そうで、パウエルプットがまたしても発揮されそうな状況です。

米中首脳会談が開催されるのかどうかも大きなポイント

G20大阪サミットまですでに2週間余りとなっていますが、依然として習近平が予定通り来日するのか、またトランプとの米中首脳会談に臨むのかについては、米国側がやたらと予定を公表するものの中国側から具体的な確認の発表が一切行われておらず、妙な状況が継続中です。足元では香港のデモが激化しており、G20に参加すればこの件でも相当西側諸国から避難を浴びることは間違いなさそうな状況ですから、習近平の去就が注目されます。会談中止が明確になった場合米国は関税率引き上げを実施しかねない状況で、これが現実になると米国経済は本格的なリセッションに突入してしまう可能性もあるだけにここからの2週間は非常に政治的な状況が株と為替に影響を及ぼしそうな厳しい時間帯になりそうです。アルゴリズムはこうした状況にいち早く反応しますので相場の乱高下が起きる可能性もあり、かなり用心深い取引が必要になりそうです。

また市場は米国がシェールガス産出国でもはやホルムズ海峡のリスクにあまり興味がないのか意外な落ち着きをみせていますが、安倍総理が訪問しても何の成果もなかったイランと米国の対立は逆に激化しそうな状況でこちらも悪い方向に進展した場合にはリスクオフでいきなり円高にも注意したいところです。

恐らく週明けは前半が様子見の膠着相場になるもののFOMCの結果やそれ以外の政治ネタでいきなり動きだす相場になることはあらかじめしっかり認識しておくべきでしょう。