FOMCを超えてFRBパウエル議長が利下げの意向を示唆してことから米国株式市場はそれだけの材料で大きく上昇し年初来高値をつけるという異例の展開になっています。

一方債券市場はすでに今年4回の利上げさえ織り込みに行く始末で金利は下落する一方という株とはまったく逆さまの動きを加速させています。一体この相場どちらの見立てが正しいのかが早晩問題になりそうですが、新債券の帝王・ジェフリーガンドラックとエリオット波動の逆張りで世界でもっともエリオット波動で稼いだ男として有名なポールチューダーがそれぞれ独自の見解を表明しておりかなり興味深いものがあります。

ガンドラックは今年後半にリセッション入りを予想

Photo Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-14/PLAO386S972901

新債券の帝王・ダブルラインキャピタルのCIOであるジェフリー・ガンドラックはウェブキャストにおいて今年後半にリセッション入りする確率を40%から45%

と見ており、向こう1年では65%になると予想してかなりリセッション入りの可能性が高まることを強く示唆しているのが印象的です。

ガンドラックは発言の内容を変える部分もある存在ではありますが、ここ2~3年は相場の先行きをピタリと当てまくっているだけにその内容は市場にも大きな影響を与えており、無視できない存在になりつつあります。面白いのはガンドラックが相場が大きく下落する前兆としてどこかの市場がピークに達した後が危ないとしていることで、足元の米株市場がなんともそれを彷彿とさせる動きになってきている点が気になる所です。

またガンドラックはどこかで債券金利の下げが底を打って逆に反転上昇する可能性も示唆しており、とくに債券市場の話であるだけの全く逆の金利底打ちシナリオも確かに意識しておく必要がありそうな状況です。

ポールチューダーも厳しい相場見通し

Photo Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-13/ORHT6T6VDKHT01

72億ドルほどのグローバルマクロヘッジファンドの創設者でエリオット波動を使った逆張りで莫大な利益を上げている、世界でもっともエリオット波動で儲けた唯一の男とも言われるポールチューダー・ジョーンズはメディアのインタビューに

応じ、我々は恐らく長い利上げサイクル後の最初の利下げの目前にあると語って、為替についてはドルのショートと見ていることを示唆しています。

ただ彼は利下げになるまでは一時的に株価が上昇することを予想しており、短期には買い向かっていることも示唆しています。

しかしさすがのポールチューダーも2019年中にFRBの利下げが起きるとは思っていなかったようで米中の関税戦争がその大きな要因であるとも語っています。

月末の米中会談で関税実施はどうなるかわからなくなりつつありますが、もしこのまま米国が中国からさらに3000億ドル相当の関税を課した場合米国をリセッションに追いやる転機になる可能性も示唆しており、今月末の米中首脳会談の可否とその後のトランプの関税実施の判断がきわめて大きなポイントになりそうです。

それにしても利下げの見通しひとつだけでここまで米株が上昇し、時を同じくして債券市場は年間4回もの利下げを織り込み始めて金利がみるみるうちに下がるという相反した動きの相場は明らかにどちらかが間違っている可能性があり、どこかのタイミングでそれに大きな修正がかかる可能性を見ておく必要がありそうです。

こうした著名投資家の相場に対する視点はそのまま丸のみして真似るべきものではありませんが、少なくとも相場の見方としては一定の参考にはなるもので、テクニカル的にそれが検証できた場合には考え方に乗ってみるというのも一つのやり方になりそうです。