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レイダリオが率いる世界最大のファンド、ブリッジウォーターアソシエイツはヘッジファンド業界内でもルネッサンステクノロジーと並ぶ高収益ファンドとして非常に注目される存在となっているのはご案内の通りですが、そのトップにあるファンドの創業者で現在も最高投資責任者を務めるレイダリオは定期的にLinkdInに重要なコラムを掲載しています。この7月17日にまたパラダイムシフトと称するコラムを発表し金融業界では非常に大きな話題となっています。

原文は誰でも閲覧できますので詳細はこちらをご覧いただきたいと思いますが今回はそのエッセンスについてご紹介していくことにしたいと思います。

ブリッジウォーターアソシエイツというファンド

もともとレイダリオはロングアイランド大学を卒業後、ハーバードのビジネススクールで博士号を取得し、メリルリンチ銀行に就職し、さらに転職してシェアソン・ヘイデン・ストーンという証券会社に転職しますが顧客との間でトラブルがあったことからなんと解雇されてしまい、それがきっかけとなってブリッジウォーターアソシエイツを26才で起業しています。現在69才ですからなんと40年以上もこの業界で生き抜いてきている兵であることがわかります。直近ではほぼ日本円にして17兆円から18兆円を運用しており、昨年の利益は81億ドル、またAIを駆使することで有名なジムサイモンズ率いるルネサステクノロジーは47億ドルでこの二社だけで業界トップ20社合計の利益のほぼ半分を稼いでしまうという非常にバイアスのかかった業界になっていることがわかります。

グローバルファンドを名乗る会社のほとんどはレイダリオが開発したと言われる分散投資であるリスクパリティ戦略をほぼ模倣したような売買戦略を実行していますが、このリスクパリティ戦略も運用するファンドによって結果はかなり異なるものになってしまっており、実際に似たような運用をしていてもブリッジウォーターのような高い成果を上げることは極めて難しくなっているのが実情です。このレイダリオは2008年のリーマンショックの時にも異変に気付き市場にいち早く警鐘を鳴らしていることから彼の相場の見立てに対しては業界が非常に大きく注目する様になっているのが現状です。

レイダリオが定義するパラダイムとは

レイダリオはマクロ経済分析エリアでは右に出るものなしの存在となっているわけですが、彼の分析によれば概ね10年ごとに市場は機能の仕方を変化させるとしており、それぞれの時代のモードのことをパラダイムと呼んでいますのです。

レイダリオによれば、一旦定着したパラダイムに殆どの投資家が順応しそれをもとにして未知のこと、未来のことを推測、予測しはじめるようになることから往々にしてその予測は行き過ぎたものになってしまい、新たに起きるパラダイムシフトはそれ以前のパラダイムシフトにおける市場の在り方とは全く反対の在り方を示現する様になると語っています。

多くの投資家は足元のパラダイムに慣れすぎた結果、新しい状況に陥ったときに逆に想定以上の振り幅を示現してしまうとみているのです。

今回のコラムではリーマンショック以降の市場のパラダイムの特徴を以下のような5つに規定します。

  1. 各国中央銀行が恒久的に続けられない量的緩和を実施
  2. 金融緩和が資産買い入れと金利低下という2つのルートで結果的に資産価格を押し上げる事態に
  3. 利下げはゼロ金利制約となり、その結果量的緩和は効果が低減
  4. 資産価格は上昇し、将来のリターンは低下、これがさらなる資産価格上昇の足かせとなっている
  5. 今回の金融緩和がマイナス利回りを生み出し、人々は金など代替的なマネーへとシフトしはじめている

こうした既存のパラダイムに対してレイダリオはここから数年以内に新たなパラダイムシフトが起こる可能性が高いと指摘しています。とくに次の大きなパラダイムシスとはとりもなおさず世界金融危機であることを示唆しているわけですから、話はまったく穏やかではありませんが、既に彼はそうした厳しい事態に備えていることがわかってきます。

パラダイムシフトが始まるきっかけは一体何か?

レイダリオが想定するつぎのパラダイムが起こるきっかけは投資に対する実質的な

リターンがあまりにも低くなりすぎて債務を保有する投資家がそれを望まなくなるときに起こるのではないかということのようで、国の債務や企業の債務に引き当てるマネーが巨額になりすぎてこれが大きなスクイーズを引き起こすとレイダリオは示唆しています。また彼は新たなパラダイムへの対応は金投資に限ると言い切っています。

このレイダリオ、現在米国のPPT株価暴落阻止チームのアドバイザーを務めているとされていますから、なんらかの形で暴落が起きない方法が検討されることになる可能性もありますが、ここから果たして彼の示唆する様な事態が起きるのかどうかに注目していきたいところです。