参議院選挙は大きな波乱もないままに終了したわけですが、これが終了するまでは大きな動きは見せないとしてきたトランプ政権の日本政府に対する対応がここからどうなるのかに市場の関心が集まりつつあります。

24日から26日まで米国で日米通商協議の継続審議が行われたようですが、メディアにはほとんどそうした情報は載ってこないままで、何がどこまで進んでいるのかが全くわからないまま8月相場を迎えようとしています。ある意味足元の静けさは不気味なほどで、何がすでに決着しているのか、あるいはここから大もめにもめることになるのかが相当注目されるところとなってきています。

参議院選以降と言われた日米通商交渉の進捗と何か大きなディールを発表できそうだと語ったトランプの真意がいよいよ晴天白日のもとにさらされそうで、為替にもかなり大きな影響がでるだけに8月の為替相場にはFRBの動きとは別に日米通商協議の進捗と決着内容に大きな注意を払う必要が出てきているようです。

Photo 共同 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43729560V10C19A4EE8000/

自動車問題は関税、台数制限、最後に為替で決着か

日米貿易赤字の元凶となっている自動車対米輸出については、かなり米国内での生産を増加させることを余儀なくされそうですが、関税では食い止められないことは80年代に鉄鋼協議で日本との貿易交渉を行ったライトハイザーがもっともよく理解しているはずで、決着がつかない場合には台数制限へとエスカレートした後、最終的には為替水準で合意する可能性が高く、米国が自ら為替介入をしなくても日本政府が自主的に円高に相場を動かすオペレーションを強要される可能性もでてきています。具体的には債券金利を日銀がいじれば簡単いドル安円高が示現することになりますから、ここからの日米交渉の動きは日銀さえも巻き込んだものになるリスクを考える必要がでてきそうです。

農産物、食肉の自由化を約束してしまうのか

もっとも国内市場が危惧しているのは自動車輸出をある程度守るために安倍政権が農産物の関税や食肉の関税を撤廃して事実上の自由化に踏み切ってしまうリスクです。6月のG20サミットの段階ですでになにかを約束してしまった可能性も十分にありそうですし、日米通商交渉に為替条項を入れることにも合意をしている可能性はありそうで、この交渉の中身が開示された場合為替相場に与える影響がでる危険性についても相当注意していく必要がありそうです。

ECBはFOMCに先んじる形で9月の緩和措置の実施や利下げを強く示唆した理事会の結果を開示していることから対ドルでのユーロは相当安い方向に動こうとしており、米国が単独で為替介入などに打って出てもかならずしもそれに見合う成果が出ない可能性があります。しかし対円でいえば日本政府はもはやなんても言うことをきく関係になりさがっていますから、まず対円でドル安を演出することですべからく主要通貨でトランプがドル安を演出していくというシナリオも当然考えられ、とくに8月からの相場にはこうした政治的な材料が影響を与えることに注目していくことが重要になりそうです。ドル円の為替相場の歴史はここ40年間常に米国主導で政治に翻弄させてきた歴史でもありますので、ここからドル円が大きく上昇するというのは来年の大統領選挙が終わるまではほとんど期待できない状態で、むしろ無理やり政治的にドル安が示現させらることのほうに注意を払う必要がありそうです。

8月はそのきっかけとなる相場月となる可能性はかな高くなりそうな気配です。